カバンを販売しているからには、修理&メンテナンスで里帰りしているカバンは常時あります。そんなカバンたちのメンテナンス&修理を連続してしておりました。修理しても使い続けたいと思って頂けると言う事は、そのカバンを愛おしく思って頂いていると言う事。その思い持って使い続けて頂けるなら、少し長い休暇を頂く事になりますが、復活させ続けます。
相当革表面が痛々しい状態の、使われ続けて10年オーバーのフランスのデュ・プイ社の型押ししたカーフ「チェルケス」のネイビー色使って作った細ダレス。でも大丈夫。この時代のチェルケスはなめしがしっかりしているので、同色の染料と靴クリーム使ってお手入れすれば、新品と同じ様にとはいかないけれど、相当なレベルまで復活させる事が出来る。同じチェルケスカーフのグリーン色の細ダレスで、トップ枠の交換修理がこの後控えている。そちらの方は相当に手間がかかりそう。でも今は使わなくなったチェルケスカーフもストックしているので修理可能。
ブッテーロのネイビー色の太ダレス。こちらも10年選手。始めてのメンテナスの為の里帰り。コバを磨き直し、艶を失った表面を磨けばまだまだこのカバンの折り返し地点。でもなかなか艶が戻らない。もしかしたら防水スプレーか何かを塗ったのかも。このカバンを作った頃はまだブッテーロの最善のお手入れ方法が確立していなかった。でも大丈夫。磨き続ければ復活するはず。ブッテーロが内包するオイル分が、磨き続ける事で表面に出られるようになれば。磨き続けてこの表面をカバーしている何かを拭き取りさえ出来れば。それにしてもこの時代の太ダレスは今以上に軽い。強度的にはこれで問題は生じていないけれど、革の質感をもう少し出す為にここの所作っている太ダレスは、この頃に比べて革の厚みを0.2ミリ増やして作っていて、使い込んだ時の表情もトップ枠辺りのボリューム感が変わった。定番品も仕様を少しずつ変えている。
このブッテーロの黒色の細ダレスはそんなに年月経っていないけれど、擦り傷や小傷が目立っていた。お手入れらしいお手入れしないで少しハードに使われていた印象。でも水拭きして半乾き状態で乾拭きを丹念に続けると艶が出てきて良い感じ。コバもガッチリ磨き直したら新品時より風格ある細ダレス。ブッテーロという革はお手入れ(ひたすら乾拭きかブラッシング)さえすれば、タンニンなめし革の特別な魅力を味わえる。
次回生産の細ダレスからは大幅に仕様変更する予定。縦×横×幅などの基本スペックはそのままに、より進化したル・ボナーの細ダレス。乞うご期待を〜。
パパスのこの修理は大変でした。パパスはいっぱい販売してきましたがこの事例は始めて。身体と接触する部分(背胴と底マチの角)が擦り切れて穴が開いてしまった。本体の破れは基本修理は無理。でもこのエージングしたグリージオのパパスが気に入っていて、修理代いっぱいかかってもこのパパスを使い続けたいと。修理後は使用方法を工夫して頂く事を約束頂いた上で修理する事にした。新品を組み上げるより手間取る修理を決行。背胴の角にパッチワークし底マチは全部交換。それにしても新しく革を縫い合わせるとミネルバボックスのグリージオのエージングは特別だと改めて実感する。このパパスはコンビネーションではありません。半年もすれば違和感なくなるはずです。
お客様が使い続けたル・ボナーのカバンたちの里帰りは、カバンを作り続ける私たちにとって一番の教材。定番品の改良点、新作における工夫などにおいて、最も参考になる。少しの間故郷で療養してリフレッシュし、またそれぞれのお客様の日々の相棒として頑張るカバンたちが愛おしい。
ル・ボナーの一日
メンテナンスしながら里帰りしたカバンたちを愛でる
2011年01月13日
Le Bonheur (10:56) | コメント(2)
Comments
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先般はパパスを修理いただき、新パパスに憧れつつも、休日の必需品となっています。
一方で長年使用していたアタッシェケースの容量に不足を感じ、銀座の某店に足を運んだところ、細ダレス欠品。
うーん。残念というところで本記事を拝見しました。
進化した細ダレス!期待してます。(出来る範囲で)予約販売も考えてください。
Re:ボンジョルノより
細ダレスは仕様が確定したら、サンプルを一つ作ってからGO〜です。サンプル完成時に予約も受けるようにしようか今思案中です。もうしばらくお待ちください。
細ダレスはスマートでステキですね。ハンドルが本当にきれいなカーブを描いています。ル・ボナーのものは,きれいで驚くくらい長持ちします。
Re:ボンジョルノより
次回制作からスマートさに加えて、本体にふくよかさも加味したパターンに変更予定です。